それぞれの時〔高柳明音 Ver〕

眠るように止まった
古い腕時計
戻ることの
できない時間

いまだけを刻んでる
光の点滅
ふたりはもう
ここにはいない

さよならを決めた日の
星が降る空
伝えようと
滲むインク

消さないで残してた
最後の文字を
指がそっと
迷う夜明け

幸せは不思議
同じところにいても
きっと違って見えた

抱きしめたくても
抱きしめられない
幻だと 思い出だと
わかっているはず

忘れられないほど
忘れるしかない
誰のせいでもない
それぞれの時

別の出逢い方なら
なにが変わった
ただ心が
心にふれた

巻き戻すことがもし
ふたりにできても
たぶんそれは
しちゃいけない

愛という言葉
うまく使えないまま
ずっと苦しんでいた

抱きしめたくても
抱きしめられない
優しさだと さみしさだと
わかっているはず

忘れられないほど
忘れるしかない
誰も止められない
それぞれの時

抱きしめたくても
抱きしめられない
幻だと 思い出だと
わかっているはず

忘れられないほど
忘れるしかない
誰のせいでもない
それぞれの時

誰のせいでもない
それぞれの時
×