人恋染めし

春は桜の 花に酔い
手鏡のぞき 紅を引く
愛しきひとよ 今もなお
焦がれてやまぬ この思い
人恋染めし 風が啼(な)く

夏は祭りの 人の波
日傘で隠す 切なさよ
音沙汰(おとさた)もなく 逢えもせず
汗ばむ肌の もどかしさ
人恋染めし 待つばかり

秋は枯葉の セレナーデ
ひねもす綴(つづ)る 日記帳
ふるさと遠く 山深く
日暮れて空を また仰ぐ
人恋染めし 今いずこ

冬はコートの 襟(えり)を立て
寒がる胸を 温(あたた)める
あの日に戻る 汽車もなく
おもいで忍ぶ 砂の上
人恋染めし 夢はるか
人恋染めし 夢はるか
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