跡濁り

美しい鳥が羽ばたいて
音も立てず飛び去った
誰の目にも触れないほど静かに

醜い鳥も羽ばたいて
煩く水面を揺らす
誰もが振り返るほどに激しく

浴びせられた非難の雨に彼は零す
「うまく飛べるまで邪魔をしないでほしい」

譲れないものの数 もがいた水の上
擾乱を巻き上げて せめて波紋となれ
故に水は濁ってく

あるものは彼を許せず
石を投げて追い詰めた
ようやく彼は願うことをやめた

不出来なまま一人飛び立つ彼は零す
「そんな哀れんだ目で見る必要はない」

交わらない尺度なら己が内にあって
その中であなたより自分は幸せと
誰も彼が分からない

静けさが連れ戻す 緩やかな終焉
透き通る水の底 音も立てず沈め
誰も何も気づかずに
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