鳴り砂の女

逃げてきました 棄ててきました 東京を
五年愛した あの人と 別れてきたの
ここは鳴り砂 能登の海
女ごころの ひとり強がり
泣いているのか この砂浜は
赤い夕陽が 染める足元 燃える砂

涙たち切る 未練たち切る 心には
熱い約束 消すための お酒が欲しい
ここは鳴り砂 能登の宿
何もあの人 悪くないのよ
結び合えない 紅糸切った
身体冷(ひ)え冷(び)え にじむ夜空に 流れ星

ここは鳴り砂 能登の旅
どこへ帰ろう 私これから
風よおしえて 明日(あした)の道を
指のすき間を 砂がこぼれて 光る朝
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