草燃える

白富士けむる 野の果てに
たなびく雲は 旗の色
新たな夜明け 告げた日の
雄叫(おたけ)びしのぶ 胸ふかく
ああ 今もなお 草燃える

若宮大路 さまよえば
勇者(つわもの)どもの 夢の跡
はげしい修羅の 火に追われ
宴(うたげ)の歌も ちりぢりに
ああ 消えゆける 花いずこ

栄枯は哀(かな)し 世の習い
銀杏(いちよう)の梢 風が泣く
無常の鐘に 三代の
想い出たどる 夜は更けて
ああ 鎌倉の 月冴える
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