山桜桃

赤い実を ほおばって
おどけていた 子供の私
縁側で 目を細め
子守歌みたいに 母は言った
大事にすれば 大事にされる
毎年 甘い実をつけてくれる
それは花も 実も人も
きっと きっと同じだよ
ユスラウメは 曇り空に
春のおとずれ 待っています
ユスラウメを 見上げながら
こっそり 涙ぐむ あなたを見た

よろこびと 悲しみと
愛しさと 悔しさ 重ね
深い根を 張ってきた
人生をあなたは 堪(こら)えてきた
大事にすれば 大事にされる
ときには 日照りや長雨もある
それは花も 実も人も
きっと きっと同じだよ
ユスラウメよ 私は いま
大事にしたい 人がいます
ユスラウメを 見上げながら
こっそり 涙ぐむ あなたを見た

ユスラウメは 曇り空に
春のおとずれ 待っています
ユスラウメを 見上げながら
こっそり 涙ぐむ あなたを見た
×