雪虫

人目についたら悪いと言って
うすい化粧を する奴だった
北のはずれで 似ている女(ひと)を
見ればこゝろが また痛む
雪虫 雪虫 この手にとまれ
寒けりゃぬくもり 分けてやろ

着物のいちまい 買ってもやれず
苦労ばかりを かけてた俺さ
おまえ偲べば 笑った顔が
うかぶ他国の くもり空
雪虫 雪虫 この手にとまれ
とぶには綿毛が 重たかろ

しあわせ掴んで 暮らしておくれ
それがせめての 餞(はなむ)けだった
無理におまえを 忘れるための
旅は明日も またつゞく
雪虫 雪虫 この手にとまれ
雪降るその日を おしえろよ
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