その花ちぎれば

誰そ彼(たそがれ)
郭を包むは闇
今宵も蕾はほどけて

その花は
手にとれば
袖さへ匂ふと申します

吉原 門をくぐれば
そこは愚かな夢の街
一夜(ひとよ)きりの女郎花(をみなえし)
貴方の上で咲きましょう

面影
重ねているのは誰
朝焼け来るまで忘れて

風切り羽(かざきりば)
切られても
空を忘れない籠の鳥

千切れて痛む心も
契れば甘く痺れた
一夜の嘘ならせめて
可愛い声で啼かせて

吉原 門をくぐれば
「またね」だなんて世迷い言
どうして信じてしまうの

千切れて痛む心も
契れば甘く痺れた
一夜きりの女郎花
貴方の上で咲きましょう
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