ひとり安曇野

指を折りつつ 数えれば
早いものです 七度目(ななどめ)の
ひとり旅です 安曇野は
葉月(はづき)終わりの 蓼川(たてがわ)に
たったひと夏 はかない はかない命
蛍火が 蛍火が
痩せた灯りを 点(とも)してる
あぁ 点(とも)してる

あんたわたしも 淋しいの
抱いて下さい 道祖神(どうそじん)
ひとり旅です 安曇野は
想い焦(こが)れる 季節(つき)が行く
一人静(ひとりしずか)の 花びら 花びら抱いて
蛍火が 蛍火が
明日(あす)を探して 縁庭(ゆかりてい)
あぁ 縁庭(ゆかりてい)

咲いたこの恋 わさび田の
幸(さいわ)い橋(ばし)に 置いたまま
ひとり旅です 安曇野は
迷い女の 肩先に
蒼い山影 常念(じょうねん) 常念岳(じょうねんだけ)に
蛍火が 蛍火が
燃えて重なる 溶けてゆく
あぁ 溶けてゆく

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