花の色

あの日もらった悔しさは
硬い拳と今もこのポケットの中
冷めた目で夢を見て そんなとこだけ
無駄に大人になったんだ

ほったらかしにしたままの
少し飲み残した缶ビール
いつからか灰皿に変わり
日々をただ上書きしていく
何ヶ月ぶりかに開いた
重いカーテンの向こう側で
咲いた庭の 花の色

「名誉も地位もいらない」
あの日の僕はそう叫んでた
頬に伝う熱い涙の色
社会の事情も知らない
そんな僕の言葉は
ただの綺麗ごとなのかもしれない

今日も満員電車は不満の溜まり場
息を止めていたいほど
家へ続く帰り道
どこまでも続く夜の入口に変わる

読みかけてすぐに辞めた
ポジティブになれるらしい本の
著者は絶対 僕みたいに
ネガティブな奴に違いないな
いっそバカになった方が
傷つかなくていいらしいけど
僕は 君に負けたくない

「名誉も地位もいらない」
結果ばかりを求める奴は
権力に負けた結果そのもの
他の名前は知らない
数字ばかりを気にして
僕の名が数字に変わらないように

「名誉も地位もいらない」
あの日の僕が流した涙
それこそ忘れかけてた 花の色
社会の事情も知らない
そんな僕の言葉が
どうか綺麗ごとでありませんように
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