なごみ小路で…

泣いちゃ男が すたる夜は
そうさ深酒 したくなる
右から一(ひい)、二(ふう)…三軒目
涙代わりの 浮き世の水で
酔いたいネ 酔いたいネ やっぱり 酔いたいネ
凍(しば)れた心と 胃ぶくろにゃ
馴染みの灯りが ああ あったかい

暖簾ヒラリと くぐったら
毎度お馴染み 顔なじみ
徳利五(いつ)、六(むう)…七本目
焼いたホッケに 演歌がひとつ
嬉しいネ 嬉しいネ やっぱり 嬉しいネ
軒先飾った ビニールの
路地裏桜が ああ また笑う

嘘かホントか 知らないが
みんな小雪と 呼んでいる
惚の字で九つ …十年目
酔わすつもりが 酔わされつぶれ
懲りないネ 懲りないネ やっぱり 懲りないネ
変わらぬ笑顔が 咲いている
和(なご)みと言う名の ああ 春小路
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