蝶と花と蜘蛛

叶わぬ恋の感情に
振り回されて 傷つけ合っても
慈悲深き愛の女神よ
戯れに 恋を、殺さないで……

偶然響いた 幼き日の歌声
遠い想いびとに、再び巡り会う

見慣れぬ面影
刹那に目を奪われ
そっと、踊る蝶に糸を掛けた

密やかなるうちに絡む
蜘蛛の糸のように
無邪気に飛び舞う蝶の
綺麗な羽に手を伸ばす

揺らめく恋の糸の
罠にかかった蝶を捉まえて
震える羽の鱗粉に
口づけて そっと絡めとった
……逃がさないよ?

囚われた愚かな蝶は
逃げ出せぬまま 罠に溺れてく
慈悲深き月の女神よ
戯れに 夜を明かさないで……

募らす想いを 祈るように囁く
初恋の淡い夢は 砕け散った

密やかなるうちに
ふと佇む、花のように
可憐に飛び舞う蝶を
見つめることしか、できない

芽生えた恋の花に
ひらり止まった 蝶に囚われて
奪われた蜜の香りに
酔わされて そっと、想い焦がす
……愛してる

欲深き愚かな蝶は
気高い花の 毒に侵されて
麗しき愛の女神よ
戯れに 恋を、殺さないで……

叶わぬ恋の感情に
振り回されて そのたび、絆され
羽ばたきに疲れた羽の
休め方さえ 分からないの
助けて……

許されぬ恋の花は
実らぬうちに 枯らしてしまおう
噎せ返る残り香だけを
この胸の奥に閉じ込めて……

解けない恋の糸に
絡まったまま もがき続けても
慈悲深き愛の女神よ
戯れに 恋を、殺さないで……
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