雪の下

あの人は 旅に出たよと
知らないでいれば 待っていられたのに
書きかけの手紙は出せないまま
返事が来るのはいつかしら

きれいすぎる心は 少しでも汚れてはいけなかったのに

知らないでいれば寂しくないのに
知らないでいれば悲しくないのに
どうして知ってしまうんだろう
どうして知りたくなるのだろう

白く優しい雪は 少しでも汚れてはいけなかったのに

あなたが話すたび あなたは誰かのあなたになり
あなたが笑うたび あなたは誰かのあなたになった
あなたはあなただけのあなたでは なかったのです

雪が溶けるころ また会えるかな
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