戦友

ここは御国を何百里
離れて遠き満州の
赤い夕日に照らされて
友は野末の石の下

ああ戦いの最中に
隣りに居った此の友の
俄かにはたと倒れしを
我はおもわず駆け寄って

軍律きびしき中なれど
これを見捨てて置かりょうか
「しっかりせよ」と抱き起し
仮繃帯も弾丸の中

空しく冷えて魂は
くにへ帰ったポケットに
時計ばかりがコチコチと
動いているのも情なや

思いもよらず我一人
不思議に命ながらえて
赤い夕日の満州に
友の塚穴掘ろうとは
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