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青春のメモワール

 
ノックアウトされたリングサイドに 僕は一人腰を下ろした
薄れていく意識の中で 君の姿を探した
闇雲に出したパンチは 尽く空を切り裂いた
倒れてはまた立ち上がり 時が過ぎるのを待っていた

血を浴びた白いマットは 鉄と汗の匂いがした
沈黙はやがて喝采に変わり 青春の終わりを告げるテンカウント

スローモーションで蘇る 君の笑顔はいつも優しくて
終わりなき孤独のシャドー 君と駆け抜けた since 1968

時が経ち瞳伏せると 変わりなくここにあるようだ
夢だけで食いつないでいた 継ぎ接ぎだらけの青春のメモワール

あの試合が始まる前に 部屋に残した誓いの言葉
もしも負けたらグローブを捨てて 君の実家の呉服屋を継ぐと

フラッシュバックで遠ざかる 君の背中はやけに眩しくて
開かずの遮断機の光 身も蓋もないさ 砕け散った夢物語

陽射しに揺れるレモネード 路地裏の下がり猫
真夜中のインスタントフード 萎れかけたかすみ草
なけなしの左フック 時を刻む鐘の向こう
僕の名前を叫ぶ 君の声が聞えた

スローモーションで蘇る 君の笑顔はいつも優しくて
終わりなき孤独のシャドー 君と駆け抜けた since 1968
ラストシーンは絵に描いたようなノックダウン
消えない昔日の痛み 君と駆け抜けた since 1968