わたしのふね

漂うのはわたしのふね ただひとつ
会えてうれしい人などいやしない

次の町までは春をついやす
独り言さえ行くてに溶けて

反転する空をかみ 日々の恥
百舌のさえずり「キィ」と鳴くころあい

胸に集るのは 消えていったひと
高鳴るときは 煙にかえて

手のひらでつつむ あとでまた
ほおりだすだろうに

漂うのはわたしのふね ただひとつ
会えてうれしい人などいやしない

いつも思う 今日がそう
「最後」の予感
嘘ばかり撫でて ほんとうになった

楽しさはすてる あとでまた
欲しがりだすのに それなのに

手のひらでつつむ あとでまた
ほおりだすだろうに
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