アパルトマン

2かいに住んでる 寒い目をした人が
粉雪のように 歌う
となりに住んでる 北で生まれた二人
いつもの言葉で愛をかわしてる ラムール

自分の中の苦しみ抱いて
生きる楽しみで せいいっぱいの
他人がいやで自分がいやで
窓辺に暮らすの もうやめて

私 家を出てゆくわ
目の前の河をこえて
氷のとける前に
強く くつひもを結んで
歩きはじめる

10年も住んでたと 思えない記憶が
初雪のように とける
床のきしむ音が 先を急がせるの
新しいくつが過去を踏みつける サリュー

私の中につもる吹雪は
この冬だけで もう一生分で
だんろの中を かきまわしても
燃えすぎた灰が あるだけ

私 家を出てゆくわ
目の前の河をこえて
氷のとける前に
強く くつひもを結んで
歩きはじめる

私 家を出てゆくわ
次に住む人のために
すべてをそのままにして
目の前の河をこえて
氷のとける前に
強く くつひもを結んで
歩きはじめる
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