夏嵐

窓を叩く 強い雨風
急に進路を 変えた 夏嵐
作り終えた トランク 冷ややかに
不安気な 俺達を 眺めてる
帰りのフライトを 問い合わす度に
見込み ない事だけ 繰り返す
今夜中に 発てなきゃ お互いの
城を壊し 傷つけ 終りさ

こいつを運命と 呼ぶのなら
覚悟の上で 堕ちた恋さ

誰もふたりを 離せはしない
暗黙の 秘め事

なのに あなたは 背中を向けて
俺だけ 責めるのか

雲の切れ間の 僅かな隙に
無理に 呼んだ Taxi 乗り込めば
口を閉ざす ふたりは それぞれの
相手への言い訳 考える
混んだロビーは 溜め息の渦
あなたの 冷えた手 握りしめる
絶望の二文字 あざやかに
切なく 俺の脳裏をかすめた

こいつを運命と 呼ぶのなら
覚悟の上で 堕ちた恋さ

追い詰められて ふたりのこころ
見える皮肉な今

その時 耳を 疑うような
フライト 告げる声

嵐が去って ここに居るのは
もとの ふたりじゃない
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