夜の海とアンクレット

稜線を跨ぎ近付くジャイアント
竦んだ足で立つ僕に
さっきまで見ていた星 ひとつくれたよ

月見草が首をもたげ 彼女の居場所を隠す
道を遮る魔女から 思わず飛びつきたくなるような大予言

手の鳴る方へ 導かれるように
微かな月明かりを背にし ふと身をかがめば
地を這いながら 輝くアンクレット
星屑を蹴散らし彼女は今 夜の海へ行く

流木を蹴って夜明けも待つ
眠れぬ戦士は歩く
帷子ごしに輝く不気味な漁火

高鳴る胸 押さえながら 足跡を辿るうち
黒猫がくわえてきた 思わず唾を飲み込んだ写真を手に

声無き声に 導かれるように
波音を頼りに進んで 見つけた彼女の
砂に残され 煌めくアンクレット
人魚の姿で微笑みながら 夜の海を行く
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