有馬路よ

鏡に頬を寄せ合って
うなじを撫でた旅の宿
甘い香りに 夢現(うつつ)
思わず胸を 抱き寄せた

汽笛も泣いて遠ざかる
神戸港に散るテープ
手を振る姿 霞みゆく
思い出 後に消えて行く

知らずに残す黒髪を
掌平に乗せじっと見る
想いは巡る 有馬路よ
人に語れぬ 密(みそか)ごと
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