スペイン坂

駐車場から でてきた 女性(ひと)は
ダイヤの ピアスも 昔のまんま
蔦(つた)のからまる 煉瓦の家が
愛の家庭に なるはずだった
マリオの店は あるだろか
君が名づけた スペイン坂
綺麗な指を 組みあわせ
俺の目をみて 話すくせ
愛しあいながら 別れわかれたね
これしかないわと 言い置いて

冷えたワインの グラスをもてば
あの日々 あの時 絵のよにめぐる
元気そうだと 確認しあう 
声にださずに ほほえみだけで
たがいの「現実(いま)」に ふれないで
夢を食べてた スペイン坂
たまらず君に 手をのばし
顔を両手に つつみこむ
求めあいながら 離れはなれたね
あれから恋とは 縁がない

マリオの店も クローズか
君が名づけた スペイン坂
ことばを胸に 折りたたみ
かるく手をあげ 歩きだす
引かれあいながら 別れわかれたね
振りかえらないで 行ってくれ
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