海峡こえて

一と船先に 海峡こえて
青森港の 桟橋で
待ってゝくれと 言ったひと
あなたは来ない 旅路は遠い
仕方なしなし 東京へ
仕方なしなし 東京へ
わたしは鞄が 重かった

やっぱりわたし 捨てられたのか
それとも何か あったのか
便箋二枚 書きながら
泣きたいような 運命をのせて
仕方なしなし 東京へ
仕方なしなし 東京へ
列車は上野に ついていた

あれから三月(みつき) ちいさな部屋に
命をかけた 恋だけが
ぽつんとひとつ 置いてある
夜ふけてつのる 男のにくさ
仕方なしなし 東京へ
仕方なしなし 東京へ
いまさらわたしは 戻れない
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