木枯紋次郎

縞の合羽が 越え行く峠
後姿が きにかかる
口の楊枝が 風に鳴りゃ
恋もうらみも かかわりないが
斬るぜ 木枯紋次郎

赤い血潮が とび散る宿場
情無用の 雨が降る
無縁仏に 咲く花が
泣いて見送る 三度笠ひとつ
あれは 木枯紋次郎

雲が飛ぶ飛ぶ あの空あたり
俺の墓場は 野の果てか
生まれ故郷は 上州か
誰がつたえる あいつの噂
さらば 木枯紋次郎

「上州新田郡三日月村に生れ
十才の時一家は離散したと伝えられるが
天涯孤独の紋次郎が何故無宿渡世の
世界に入ったかは定かでない」
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