梅・桃・桜

梅・桃・桜のころ
春を知らせる花便り
梅・桃・桜の庭
春の香りの花暦

掌を見つめるたびに
思い出す母のあれこれ
やわらかで少しつめたい
儚さは そのつよさ

梅・桃・桜のころ
少女の厄を 流し雛
梅・桃・桜の庭
縁のそばには影ひとつ

母に似た私のとなり
私に似た娘がわらう
母と私、そして娘の
三代の花暦

水をやる接ぎ木の庭に
ひとひらの花が舞いこむ
手のひらに受けてほほえむ
娘との一会の春よ

梅・桃・桜のころ
母と私と娘のうた
梅・桃・桜の庭
移ろう盛り 花暦

梅・桃・桜のころ
風に出逢える時を待つ
梅・桃・桜の庭
風待つ日々の花暦
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