小夜すみれ~ある夜の森の小さなお話

泉のほとり小さな茂みに
すやすや眠れる乙女がひとり

木の葉揺らして子リスが駆け寄り
岸辺でカエルが飛沫を散らす

ほら森の動物(みんな)が
集まってくる

愛らしいお嬢さんの寝顔を見に

ああだめよ静かに
小夜啼鳥(ナイチンゲール)が

さあわたしが歌いましょう
子守歌を

うっとりと誰もみな思ってる
漆黒に伏せたまつげの

その下で夢を見る二つの瞳
どんなにか綺麗だろうと

きっと湖のヒスイいろ
いいえ煙るようなスミレいろ

まだかしら目が覚める時はいつ
ああ早く朝よ急いで

月の光は巻き毛をくすぐり
そよ風はそっと頬を撫でてく

そっと呼ぼうかビオレッタビオレッタ
ほんとの名前は知らないけれど

あら森のみんなも
眠たくなって

小夜すみれ香る夜に溶けてゆくよ

ワルツ踊るような
寝息たてる

お人形のお嬢さんと円になって!
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