綿飴とりんご飴

声も聴こえない花火の音を言い訳にして
近づいてみた首筋の匂いが綿飴とりんご飴
甘い甘い甘い甘過ぎて吐きそうになる
程の飴を僕ら一緒に舐めてた
生温い体温と少し汗臭い匂いを
抱きしめて離さないよ確かに一つになった
君がいて僕がいるそれだけでよかったのさ
花火なんてどうでもいいなんだってよかったの
二人なら

今年もこんな時期になったなぁとチラシを見る
もう何年も行っていないのだな打ち上げは20時
甘い甘い甘い甘過ぎて吐きそうになる
程の飴は溶けて無くなってしまった
生温い体温とあの夏の夢ってやつを
今も見ている筈なのにどうして何かが違うの
君がいて僕がいるそれだけでよかったのに
いつの間にか解らなくなった
僕は今も君が見えるのに

突然 図ったかのように
鳴り響いた花火の音
支度もせず慌てて外へ駆け出すと
浴衣の君がそこにいる
目を凝らしてもう一度見る
Tシャツの君と目が合う
幻のようだ

懐かしい匂いに誘われて歩き出した
綿飴とりんご飴を買って一緒に帰ろう
君がいる僕がいるそれだけだ それだけなんだ
あの夏の夢というやつはもう見れなくてもいい
二人だから
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