風枕

昨日に戻れる 道はないけれど
思い出手繰(たぐ)って 歩きます
冬のみちのく ひとり旅
つのる思いを 御桜川(みさくらがわ)に
そっと映せば 淋しくゆれる
日暮(くれ)て 三春路(みはるじ) 城下町

二人で流した あれは二年前
いろりを囲んだ 宿の酒場(みせ)
遠く聞こえる 汽車の笛
時を昔に 戻してほしい
夢を語った あなたは何処(いずこ)
この身 痩せます 面影に

昨夜(ゆうべ)の雪なら 解けて消えたけど
心の凍れは 解けません
胸を合わせた ぬくもりの
恋の続きに いつの日逢える
季節はずれの 野路菊ひとつ
風の みちのく 旅枕
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