木の葉のスケッチ

時計は無言でまわるけれど
面影ばかりは消せないね
都会がくれた粋なはからいさ
ラッシュのホームで君と…

冬の色の風に吹かれた落ち葉たちが
通りを走ってゆく

幸福みたいで ホッとしたよ
「まあね」と笑った横顔の
淡いかげが ショーウィンドウに映ってる
ぼんやりみとれていたよ

時が刻む深い淵を
埋めつくせる言葉は無いんだね

つい「お前」と呼びかけそうさ
昔の口癖でね
話すことは山ほどあるはずなのに今は
話題も途切れたまま…

時計に視線を落とすたびに
待ってる誰かを暗示して

都会がくれた罪な偶然さ
「食事はどう」って聞いた…
立ち止まって 一瞬困った表情さ

じゃあ 引き止めて御免
枝を離れたふたつの葉は
風に散るしかない
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