はんぶん

眼鏡かけて 『えっとそれはねえ』
なんて 嬉しそうな目で
僕が小さい頃の写真を見て
昨日ことのように 話してくれた

車椅子 押しながら
ふたり 眺めた桜
『重たくてごめんね』という背中
どこへでも どこまでも押せるよ

いままで
なんにも知らなくて
なんにもわかってなかった
1人の人生がそこにあることさえ
忘れてしまうこともあるけど
抱きしめてくれた
そのぬくもりだけはずっと覚えてる

もし願いが叶うなら
会って話してみたい
生まれたての僕を抱いてる母と
同じ年の僕とふたりで

いままで
なんにも知らなくて
なんにもわかってなかった
1人の人生がそこにあることさえ
忘れてしまうこともあるけど
抱き寄せた時の
そのぬくもりだけはずっと覚えていよう
優しく温かな手を忘れない
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