王妃の微笑み

それは遠い昔のことです
醜い王が 美しい王妃を隠しました 永遠に

この世の者とは思えない
艶やかな女性
一目見た男は 王の命狙いました

触れさせない 見せはしない 誰にも
心奪い狂わしい 私の后

渡すものか 逃がすものか 何処へも
誰も行けぬ世界へ

滴り落ちてベタつくような 不快な甘さ
舐め回す視線は
悍ましさになりました

隙間風も稲光も 叫び声
恋に悩む少女に
お逃げなさいと

燃える日差し 止まぬ嵐 折れる木々
それは王妃の声

失くした愛 躓く恋 要らぬ傷
誰かが語りかける
ここから出して…

虹の彼方 星の巡り 渡り鳥
それは王妃の夢

誰でも皆 知らない間に 通り過ぎる
眠りから覚める時
不意に見る世界

煌びやかに回るドレス 忘る夢
それは王妃の影
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