北のわかれ雪

寒いな 雪の夜は
こころも凍れる
まして 流れる身は なおさら辛い
いつになったら この背中(せな)の荷は
どこに降ろせば いいのやら
あゝ 北の春はまだ遠い

振り向きゃ 昨日今日と
重ねる旅は
いつか形(なり)もやつれ 影さえ薄い
わざと傷心(いたみ)は 笑顔でかくし
そっとのぞいた なわのれん
あゝ ひとり酒はまたにがい

この坂 上り下り
幸福尋ねて
堪え堪えながらの 奴がゆく
我慢辛抱 承知はしても
壗(まま)にならない 世の習い
あゝ 北の北のわかれ雪
×