酒場情話

「ごめんなさいね お客さん
奥はいつでも 予約席」
待っているんじゃ ないけれど
私にゃ見えるの あのひとが
ひとり無口に 飲む姿
酒場女の 身の上なんて
なぜか淋しい 過去ばかり

「外は雨です お客さん
少し話を 聞いてって」
思い出します 寒い夜
ふたりで最後の 差し向かい
遠い汽笛に 泣けたっけ
酒場女の 身の上なんて
みんな似たよな 傷がある

「北の生まれね お客さん
どこか似てるわ あのひとに」
暖簾くぐって 風のように
ふらりと戻って 来る日まで
恋の灯りは 消さないわ
酒場女の 身の上なんて
つかみきれない 夢ばかり
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