プリント・クラブ

ゲーテは言った 「もっと光を」
少女は言った 「もっとおしゃれを」
神様言った 「もっと言葉を」
少女は言った 「もっと、もっと、もっと、何かを」
ほしいものがほしいの

108色の口紅で108つのリビドー描いても
真っ暗闇のマスカラで睫毛をマリスにつなげても

涙ポロポロポラロイドに写すスクールゾーンの幽霊たちは
恋ができない 恋を知らない 子供じゃないけど

天然色のテレビジョン アイキャッチで愛を伝えても
ここでいったんコマーシャル 「殺せ」と「生きろ」が聴こえたら

このままつないだ手はなさないでってスクールメイトの影たちは
恋を知ってる 恋ができる でも はじめてじゃない 最初から

あたしたちの青春はプリントされて
わずかな光と闇にプリントされて
あたしあなたみたいに あなたあたしみたいに
鏡あわせルージュをひくときだけは 見つめあってるの
なりたい子になるの

108色の口紅は折れたらなくなる赤くなる
真っ暗闇の髪の毛は切ったら切ったで傷になる

名前知らない憧れのあの子 ドッペルゲンガーは夢見てたの
嘘がつけない 嘘になるから 裏切れないの 最後まで

あたしたちの恋愛は映画化されて
資本と主義のあいだで映画化されて
あたしあなたみたいに あなたあたしみたいに
パンテオン前とばして 演じるの 演じあっているの
なれない子になるの

やめたバレエも 弾けないピアノも おぼえたてのアルファベットも
ぜんぶぜんぶ煙草で燃やして 飲めないお酒を飲んだの

あたしたちの青春はあなたのものです
あなたたちのもので
あたしなんていないから
少女はプリントされるから

あたしたちの青春はプリントされて
わずかな光と闇にプリントされて
あたしあなたみたいに あなたあたしみたいに
鏡あわせ涙を流すときだけ見つめあってるの
ほしいものがほしいの
ほしいものをおしえて
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