潮来笠

潮来の伊太郎 ちょっと見なれば
薄情そうな 渡り鳥
それでいいのさ あの移り気な
風が吹くまま 西東
なのにヨー なぜに眼に浮く 潮来笠

田笠(たがさ)の紅緒(べにお)が ちらつくようじゃ
振り分け荷物 重かろに
わけはきくなと 笑ってみせる
粋な単衣(ひとえ)の 腕まくり
なのにヨー 後髪引く 潮来笠

旅空 夜空で いまさら知った
女の胸の 底の底
ここは関宿(せきやど) 大利根川へ
人にかくして 流す花
だってヨー あの娘川下 潮来笠
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