夜明け

風がゆるやかに泳いで くもり空を溶かしてゆく
季節の変わり目はいつも 胸の奥がさわがしい

何かが起こりそうな気がする
何かが起こせそうな気がする
もし何も起こらなくても
もし何も起こせなくても
そんな事は問題じゃない
そんな事は問題じゃない

夜の底が口を開き ゆっくりひきずり込む
出口があるのかどうか それさえもわからない

今まで歩いてきた道が 勘違いだったとしても
これから歩きだす道が すれ違いだったとしても
手探りで進むしかない ただ手探りで

夜明けが景色を 白く染めゆく
すすだらけの猫や 色褪せた道を

夜明けが僕らを 白く染めて直す
何度でもいい やり直せばいい

風が心を 揺らして消えた
乾いた空は いつも通り そこにある

流れ星が恋におちて そっと夜をぬけだす
三日月は伏目がちに 街を見おろしている

まだ何も始まっちゃないし
まだ何も終わってもない
全てできるわけじゃないが
全てできないわけじゃない
つばめが空を引き裂く
かすんだ空を

夜明けが景色を 白く染めてゆく
すすだらけの猫や 色褪せた道を

夜明けが全てを 白く染めあげる
すすだらけの日々を 色褪せた夢を

夜明けが僕らを 白く染め直す
何度でもいい やり直せばいい

夜明けが景色を 白く染めてゆく
すすだらけの猫や 色褪せた道を
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