想い出にかわるまで

そっとそっと 流れ落ちてゆく涙
もう二度と戻れはしないと
言い聞かされているよう
そっとそっと 解けてゆく結び目を
二人どこかで分かっていたのに
繋ぐ指で隠してた

駅の階段降りてくふたつの影
ふと振り返り君へ差し出した手を
あの日「大丈夫よ」と断って
歩き出した 寂しいひとつの影

この街で出会ったすべてに
淡い君の香りがほら残るのだろう
想い出に君がかわるまで 何度も
胸を締めつける

きっときっと どうか離れないように
心の隙間埋めるのなら ため息さえも拾った

湿った風が吹き始めた季節に
川沿い歩いた二人黙ったまま
君の横顔越し見えた花火
それは君の心 映す紫陽花

この街で出会ったすべてに
想い出へと続く扉の鍵があって
それぞれに違う顔見せる面影
そっと抱きしめた

風が今 君の髪揺らす
まるでその心の揺れをあらわすように
足どりはそれでも向かうだろう 確かに
あの岐かれ道へ

この街で出会ったすべてが
君の記憶だけ 鮮やかに色づける
想い出に君がかわるまで 何度も
胸を締めつける
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