恋の大和路~梅川・忠兵衛「冥途の飛脚」

生きてあなたと 添えるなら
流す涙も どれほど嬉しかろ
恋ゆえ狭めた 人の世の
冷たい風に さらされて
二人 追われて
夜の大和路 雪しぐれ

これほどまでに愛されて
なんで恨み言などいえましょう
こうなったのも
もとはといえば
みんなこの梅川のせい
死ぬ覚悟ならとうにできています
忠兵衛さま
生きられるだけ生きましょう
添えられるだけ添うて
梅川は あなたと生きとうございます

寒くないかと 目をのぞき
肩を抱きよせ 小雪を振り払う
あなたに愛され 尽くされて
しあわせでした 梅川は
あとは 言葉も
袖を濡らして 忍び泣く

水の流れと 身の行方
鳴くは名残の 浪華の川千鳥
捨てても悔いない この命
あなたと今を 生きれたら
雪よ 降れ降れ
一期一会の 恋に降れ
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