北半島

胸の紅花(べにばな) 口あとは
あなたが噛んだ 愛の傷
指でなぞれば 未練でしょうか
あゝ風が涙を また誘う
北の半島 沖ゆく船も
連(つ)れにはぐれて 冬のひとり旅

惚れていながら 嘘ついて
書いた別れの 置手紙
熱いこの乳房(むね) どうすりゃ消える
あゝ海猫(ごめ)が淋しく 飛ぶみなと
北の半島 夕陽に染まり
これでいいわと 泣いてひとり旅

空の果てまで 続く道
歩けば過去が 消えますか
吹雪がくれに 見えない宿命(あした)
あゝあなた最後と 賭けた恋
北の半島 波音まじり
細い汽笛が 泌みるひとり旅
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