早春

生きてきたから 朝がある
朝に春まで 重なって
やっと心の おもたさが
とけていったと 嬉しがる
あなた こちらは 春よ春
風がいくらか のこっても
みどり芽をふく 春よ春
ああ あなた恋しい

ひゅるる ひゅるるの 風の音
夜半にぴたりと 止んだあと
ひとり 乾杯したくなり
冷めた盃 上げてみる
あなた こちらは 春よ春
胸がいくらか 疼いても
小鳥さえずる 春よ春
ああ あなた恋しい

春に始まる 人生が
巡り巡って 何度目が
嘘をつかない ご褒美に
花と一緒に 訪れる
あなた こちらは 春よ春
涙 ひと粒 こぼれても
歌が流れる 春よ春
ああ あなた恋しい
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