祭りのまえ

抜ければ近道 帰り道
みんなの上には傾く陽
ベンチに座って見渡せば
砂場は誰かが独り占め

重なる太鼓は窓の中
祭りの支度を進めてる
一つの心をかき立てて
はがれた蝉が鳴いている

小さな手の中くすぐって
黄色いおもちゃが逃げ出した
流れる星は糸を引いて
刺さない蜂は飛んでゆく

どこまでも
どこまでも
大空

抜ければ八月 宵の口
もうじきここはステージを
囲んだ浴衣の人たちと
じゃれる子供の歌声で
とてもにぎやかになるだろう
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