女のエレジー

汽笛の音に みだれる胸を
そっとおさえて 改札口へ
人目を忍ぶ ひとり妻
逢えた喜び 隠しつつ
三歩はなれる 駅の道

気にしなくても いいのよあなた
ひとりぽっちにゃ 馴れっこだから
放ったらかしに されたって
女心は ひと筋に
たまに逢う日を 松の宿

出逢いの夜が しっとり明けりゃ
青い空さえ 見るのが怖い
この次逢える 日(ひ)も訊(き)けず
あてどないまゝ  汽車が来て
声にならない さようなら
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