落日

故郷遠く 海の落日
渚をゆけば 流離の愁い
名も上げず 身も立たず
流れ木のごと 朽ちるものあり
啼くな千鳥よ やる瀬なく
啼くな夕波千鳥
ねじれて寒き 砂山に
浜昼顔の 花も咲く

からくれないの 海の落日
たぎりて落ちて あとは夕闇
この旅路は 愚かにも
埋れ火のごと いまだはてなむ
啼くな千鳥よ 寂しげに
啼くな夕波千鳥
夜ごとの夢の 通い路に
優しき母の 顔があり
×