飛頭蛮

涸れた心に宵闇 様になるのは恋時雨
嗚呼 今宵は ぢっと待ってみょうわや
呉れた假文の行方は 哀れ厠の涅の中 嗚呼 未練の汚物塗れ
間抜け面した出涸らし男 昨夜限りで袂を分ち

蒸れた番の芋虫 邪魔になるのは蝉時雨
嗚呼 此の儘 廓通いしょうかの
そんな場合じゃ ありゃしねえ
儂のかかあは何処行った 嗚呼 散々泣き暮らす
甲斐性なしの兵六玉よ 疾うにあたしは他し男と 西へ

胴からもげた旦那の頸が 或る日ちょこなんと 垣根でにたり
挑みかかるや裾からもぐり 癪に障わって 直ぐ蹴り飛ばし
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