水の鏡

銀色の月が 河を流れてく
折り紙の舟の ように
さざ波に ふるえながら 海へ

悲しみを入れる 小さな器を
心と名付けた 人よ
佇めば 夜の露に 濡れる

真冬に灯した 線香花火は
残った想いを そっと燃やしながら
闇に消えた

醒めればはかない 夢と知りながら
人はなぜ恋に 落ちる
泣かないで 水鏡の私

幼い夏の日 大人とはぐれた
祭りの夜から きっと私はまだ
迷子のまま

歌えばいとしい 愛を知りながら
声はなぜ風に 霞む
泣かないで 水鏡の私
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