やさしさを下さい

九月 早咲きのコスモス 予感……
この坂道から見える街が好き 淋しい時によく来るんです
夕焼け、葡萄酒色の雲が少しずつ蒼く蒼く透き徹ってゆきます
街に灯りがひとつふたつ 星の海のようにひろがるんです
あの小さく揺れてるのがあなたの家の灯りでしょうか
揺れてるのは涙のせいかもしれません
この間のちっちゃなけんか、やっぱり気になってるのかしら
あなたの愛を見失いそうなのに強がりばかりの私
淋しがりやのくせに……
もしこのまま逢えなくなったら… なんて考えてる内に
たくさんのたくさんの想いが風車のようにまわりだします

好きよ この言葉を何度心につぶやいたでしょう
「空に星が灯る頃、街にあかりが灯る頃
私の心にも小さな愛が灯ります
あなたのやさしさを私にください」
今夜手紙を書きます 電話だと声がふるえそうだし
手紙の方が気持を素直に書けそうだから……
この頃愛する難しさがわかってきたような気がします……
もう夜、とても静かです
眼をつぶると、あなたのほほえみが「元気だせっ」って言うんです
あなたの家の灯りにおやすみなさい
好きよ……
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