旅の居酒屋

乗り替え駅から ほんの五分も歩いたら
「岬」という名の 店がある
たしかあいつが そこに居たとか いう噂
逢って行こうか 逢わずに行こうか…
何処へさすらう 男がひとり
酒につぶやく 旅の居酒屋で

日暮れの波止場で 咽ぶ汽笛の淋しさに
思えば遥かな 故郷(ふるさと)よ
北へ北へと 胸のやすらぎ 追いかけて
明日の出船で 海峡越えよか…
誰が爪弾く あの惜別の
唄が泣かせる 旅の居酒屋で

弱い身体と 知っていながら 何故ひとり
雪に埋もれて ひっそり暮らすか…
みんな昔の 俺(おとこ)のせいか
詫びて酒くむ 旅の居酒屋で
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