うつくしいなまえ

鼻たれは考えていた
小さなちんこの先っちょで触れてみる美しさ
まだ名前さえないもの
かみさまがそばにいて めらめらや ざぁざぁや びゅうっという
ぼくがみたうつくしさ そのすべてについて

お前はなんだと問うても めらめらざぁざぁびゅうっというばかり
もう一度訊ねてみると 好きに名前をつけろという

そして世界はいっせいに ぼくをとりかこみ言った
「うつくしさ、うつくしさにどうぞ名前を」と

薔薇の枝にある兆し ところでぼくはなにものか
わたしはなんだと問えば、誰かに呼んでもらえという

若者は旅にでた
土を踏み夜を越えて 火や水や風をつれ 染まる森を見た 幾度も
そうしてある美しい 美しいある朝に 美しい長い髪の娘と出会った

一つの灯りを頼りに 捧げあう互いのもちもの
むさぼるように 幾度も幾度も呼び交わすその名前

なんというか、光 あるいは愛の詞か
うつくしい うつくしい うつくしいその名前
黄金の歳月の中 その一瞬の庭に咲く薔薇
今ははっきりとわかる すべては愛だと

なんというか、光 あるいは愛の詞か
美しく 懐かしく 愛おしく時は流れる
黄金の歳月の中 その一瞬の庭に咲く薔薇
そしてまた名前などない場所へと還るだろう
そうなるだろう
そうなるだろう
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