溜恋

忍び雨ふる 港の町を
ひとり歩けば 心も濡れる
あのひとの 重荷に ならないように
さりげなく 微笑んで 別れてきたけれど
この涙 恋しさは どこへ捨てたらいいのよ

他人(ひと)の不幸(なみだ)も 肴(さかな)に飲める
若い鴎が 羨しいね
朗らかな 女を 装っていても
恋をして すてられて はじめて気がついた
この胸の 空しさを 誰で埋めればいいのよ

思い出すほど 忘れもせぬに
夜の霧笛が 慕情をそそる
あのひとの ワイシャツ 洗って干した
あの窓の カーテンも 昔のままなのに
帰り来ぬ 面影は どこを探せばいいのよ
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