じじい −導かれし宇宙−

だけどさよならなんて言わないよ
進みだした車輪はもう
もどれない目に映る世界
透明に消えていくてのひら
砂時計の中すいこまれていく

星たちがおどる夜明け前
じじいの背中につかまって
地図のない場所へでかけよう
じじいとページをめくってた
ほろりほろりつつまれて

しゃがれた声ひたいのしわ
私だけのひみつの場所

だけどさよならなんて言わないよ
回りだした車輪はもう
となりあわせの2つの世界
透明に消えていくてのひら
砂時計の中すいこまれていく

暗くてこわいトンネルでも
じじいのうたといっしょだった
やわらかいひかりにみちびかれ
じじいと歩いた散歩道
しゃなりしゃなりつつまれて

ほくろでできた天秤座
じじいが笑うとおどりだす

陰って行く雲におおわれて
雨がぽつぽつ降ってきた
目の前どんどんにじませて
世界をモザイクにしていく

遠くかすんで行く影法師
私とじじいの足跡

だからさよならなんて言えないよ
進みだした車輪の先
透きとおったまぶしい世界
遠すぎてみえなくなりそう
稜線描いて陽は落ちるけど

さよならまだ言いたくないよ
進みだした車輪はもう
もどれないみえない世界
透明に消えていくてのひら
ぎゅっとにぎったねえ行かないで
ねえいかないで
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