ショーウィンドウの影

ある晴れた一日が終わりを迎え 天気と裏腹に気分が悪い
一歩も前には進めないみたいだ 景色は少しずつ家路を辿るのに

雑踏の中で古い友達を見たが 隠れるようにふと角を曲がる
景気がいい奴と悪い奴がいて もちろんこの俺は悪い方の奴さ

自分なんて見たくない 自分なんて今見たくないのに
ショーウィンドウにはブランドのマネキンに
重なった透明な存在の影

当たり前のような幸せが消え 無くして初めてその尊さを知る
あても無い苛立ちをうまく押さえきれずに
良くない運気だけ自ら呼び覚ます

自分なんて見たくない 自分なんて今見たくないのに
ショーウィンドウには華やかな街と
捨てられぬプライドをぶら下げた影

叫び声がする いつも通りの仮面をつけ
音漏らさぬままで…

昔好きだったあの娘からのメール 「久しぶりだね、元気ですか?」の文字
返信の一行目「元気だよ」と書いて 送信しかけてため息をついた

自分なんて見たくない 自分なんて今見たくないのに
ショーウィンドウには当たり前のように
沈みゆく太陽に逆らってる影
ショーウィンドウだけは 本当の姿をこの俺に教えてる
この俺に教えてる…
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